コミュニティ自治 / Neighborhood Autonomy
信頼ベースのコミュニティプランニング / Planning based on mutual trust
「住民自身が自分の地域の将来を構想しながら担う」コミュニティ自治を提言してきました。地域の姿は誰がつくりあげるのか? 市役所? 本来、そこに暮らす住民自身が地域の姿をつくり支えることを第一と考えます。そこから、下記のように、住民自身が地域一丸となる「まちづくり協議会」の設置や、住民自身による公式の将来構想「コミュニティ計画」を全国の市町村で地域住民の方々、行政の担当課とともに立ち上げを推進していました。(そのためのテキストとして刊行した前山『コミュニティ自治の理論と実践』東京法令出版をもって全国行脚させていただきました。)
まちづくり協議会の設置(条例や市要綱にもとづく)の支援
まちづくり条例案作成の支援
コミュニティ計画(まちづくり計画)の実施支援
ご縁を頂いた、八戸市、三沢市(青森県)、洋野町(岩手県)、福山市(広島県)などなどでそれらのご支援の機会を頂いてきました。今、これらの街で、うれしいことに、生き生きとしたコミュニティの動きが持続発展していることに感銘を頂いています。
そして特にうまくいった上記の実践事例をみるにつけ、21世紀のあるべきコミュニティ自治の推進には、信頼ベースのコミュニティプランニングの理論が生きてくると考えています。
なお、さらに21世紀の今、住民評議会が小自治体を経営する方式(米国の特別目的政府)など、自治体のあらたな生かし方も模索され、コミュニティ自治の新たな段階の可能性が模索されています。
Maeyama-Laboは住民、自治体職員、NPOの方々とともに、さらなる研究に取り組み、支援いたします。
コミュニティマッチング方式の推進
米国では、1990年代から自治体の拠出と住民の対等なボランティア労働で街区整備をおこなうコミュニティマッチングファンドがシアトルを発祥としてすすめられてきました。
そこで、シアトル市(提唱者ジム・ディアス氏)からの薫陶をうけて、日本初の、本格的なコミュニティマッチング方式を、自治体(青森県階上町)にMaeyaya-Laboが提起し、採用していただきました。
写真は、自治体が一定額を拠出し、そしてそれに応じて住民が対等の観点でボランティア労働を拠出し、地域の宝(財)をつくる、といった取り組みが描かれています。
まちづくり協議会設置の支援・町内会の支援
町内会の加入率の低下が叫ばれていますが、他方で、自治体からオーソライズされ、そして学区内の町内会・老人クラブ・子ども会・防犯組合・民生委員協議会が大同団結しての「まちづくり協議会」が、多くの自治体で設置されてきています(コミュニティ協議会やまちづくり推進委員会などとも呼ばれるものもあります)。
独居高齢者の見守り(いきいきサロンの設置)や、小学生の登下校見守り隊の結成のために、学区内一つの団体ではどうにもできなくても、学区のいくつかの団体が団結すると、それらの課題に有効に立ち向かえるということがわかってきました。そこで、現在、1700余の市町村にあって、実にまちづくり協議会は、現在600の市町村で設置されているといわれています。
実は、先行してすすめられてきた米国のネイバーフッドカウンシルという類似の組織制度の研究を、科研費を頂戴しながら長年進めてきており、かつ関係者との強いパイプを持ってきています。その強み弱みを、学術的にも実践的にも熟知したMaeyaya-Laboは、町内会の活性化支援とともに、とくにこの「まちづくり協議会」の設置、またその効果的な運営にむけての支援を行ってきています。
コミュニティ計画(まちづくり計画)
地域の住民の声の総和を基に、住民が主体となって、まちづくり協議会などで地域の将来像を作ります。学区内の全戸にアンケート調査を行うことからはじまり、住民へのヒアリングや、住民ワークショップを行ったりします。その上で結成してもらうワーキンググループで、地区の教育と子育て、高齢者福祉、地区の産業振興、環境整備など、分野ごとにアクション計画を1~2年程度かけて作ります。
Maeyaya-Laboは、全国多くの街・地区で、コミュニティ計画を実施するお手伝いをしてまいりましたが、この手法は、コミュニティプランニング論とアメリカのコミュニティ計画(Neighborhood Plan)での実践を基に進めていただいてきました。これを作り上げたところは、地域内の風通しがよくなり、そして行政の理解や予算措置が得やすくなる、おすすめの手法です。
全国初住民手づくりの「協働のまちづくり条例案」策定
協働の街づくり条例(まちづくり条例)を、自治体にとっての市民参加の指標となる条例として支援してきました。特に八戸市(青森県)では、条例の原案を行政の担当者ではなく、住民(市民会議)が作り上げるという、ボトムアップ方式を全国に先駆けて実施いたしました(前山はその際の市民会議の座長)。
この発想は、米国の直接立法論(住民が条例案を自治体に提出し、それを住民投票で決する方式)にヒントを得たものでした。
住民のポテンシャルを生かし、そして住民の想いを結集して条例をつくる……日本の住民と行政のありかたに一つの温かい波紋をあたえるトライをした時でした。